2006-10-12 061012 COE研究会 「HDIと幸福論:人間開発指数の応用可能性と課題」
「HDIと幸福論:人間開発指数の応用可能性と課題」
人間開発概念を中心に、幸福の測り方について縦横に論じます。

日時: 10月12日(木) 13:30〜16:00
場所: 関西学院大学 西宮上ケ原キャンパス 図書館ホール
パネリスト:草郷 孝好(大阪大学人間科学研究科 助教授)
      野上 裕生 (アジア経済研究所開発研修室 専任調査役)
      石田 淳 (日本学術振興会特別研究員)
討論者:村田 俊一 (関西学院大学総合政策研究科 教授)
    亀井 伸孝 (関西学院大学社会学研究科 COE特任助教授)

司会、代表者:高坂 健次(関西学院大学社会学研究科 教授/COE拠点リーダー)
コーディネータ: 亀井 伸孝

※一般参加を歓迎いたします。


[開催の記録]



HDIシンポジウムに関連して;
関西学院COEメールマガジンに掲載されたエッセイ
(関学COEメールマガジン [ 第26号 ] 2006/11/13)

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│  ■ エッセイ「幸福日記」(19)「教育水準と幸福感」
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人間開発指数(HDI)と主観的幸福感(SWB)の関連を探るために世界価値観調査
データを用いて行ったわれわれの分析で、他の変数を考慮した場合、社会的な
教育レベルは主観的幸福感にマイナスの影響を与えることがわかった。

具体的には、性別、年齢の他にHDIを構成する3つの次元のマクロ変数(平均寿命
指数、教育指数、GDP指数)とそれらのミクロレベルでの代替指標(主観的健康
評価、主観的豊かさ評価、意志決定の自由の評価)の合計8つの独立変数をもって
各個人の幸福感(幸福か否かの二値)を説明するロジスティック回帰モデルを
作成したところ、教育指数が高ければ高いほど幸福ではないと感じる傾向が強まる
ことが分かった。この結果は、教育レベルの改善は人々の生き方の幅を拡げ、
そのため人々のwell-beingを高めるとの想定をもったHDIの枠組みからいえば
意外な結果である。

もっとも、個人レベルにおいて教育レベルの高まりが幸福感を必ずしも高めないと
いう知見はよく知られていた。例えば、教育レベルと幸福感に単相関があっても、
収入や職業といった変数でコントロールすると、その効果は消えるかマイナスに
なるということがいくつかの調査結果からわかっている。

このことを説明する仮説として、よく取り上げられるのが、教育水準の高まりは
アスピレーションレベルを上げるので、わずかな挫折や相対的剥奪が幸福感にヨリ
大きく影響を与えるというものだ。あるいは、先に挙げたHDIの枠組みとからめて
いえば、「自由の拡大(生き方の幅の拡大)は必ずしも人々を幸福にしない」と
いう社会学の古典的な逆説命題の一つの表現型であるともいえるだろう。

まあ、「大学院生残酷物語」をよく知る私からすれば、この知見は意外でも何でも
ないのだが。
          石田淳(日本学術振興会特別研究員)
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更新日:2007-09-10  著作権者:関学COE